市民の社会参加意欲の高まりなどにより、ボランティアやNPOへの社会的期待が大きくなってきている。1995年1月に発生した阪神淡路大震災の復興において数多くのボランティアが活躍したことは記憶に新しく、これを契機に、公益に資する分野にも行政では到底担うことができない活動領域が多く残されていたことに市民は気づき始めたのである。また、高齢化の問題や地球環境問題への意識の高まりなど、行政だけの努力では対応しきれない様々な問題が自分たちの身の回りにあることに気づき、行政任せではなく、市民が自らこれらに取り組んでいこうとする意識が大きく芽生えてきた。
道路や河川などのいわゆる社会資本整備については、その計画、建設、所有、維持管理まで、すべて行政が行うものであるという意識がこれまでは強くあり、市民と社会資本との関わりは、社会資本を利用するのみであるか、あるいは、社会資本整備に対し、反対運動を展開することなどが行われてきた。しかし、近年は道路や河川などの社会資本について、市民は納税者という立場で費用を負担しており、同時にエンドユーザー(社会資本の顧客)でもあるという意識を持ち始めている。また、ボランティア・サポート・プログラム(1)による道路や河川、公園などの清掃など、地域づくりを活動目的としたNPO等のなかには、すでに地域づくり活動のなかに社会資本を活用することに着眼した活動も多く見られる。
一方、行政側も、いわゆる行政改革や構造改革の中で公共事業の見直しを推進しており、事業の透明性の確保や情報公開、市民参加やパブリックインボルブメントの実施、道の相談室の設置、河川における市民団体等との連携を唱った河川審議会の答申(2000年12月)など、様々な社会資本マネジメントの場面において、市民の参加や意見を反映させようとする姿勢が見られる。
このような流れのなか、社会資本のマネジメントにNPOが参画することにより、社会資本の役割であるいわゆる「公共の福祉」が増進され、地域社会に生活の豊かさをもたらすことが期待されている。
1999年6月に実施された政府の緊急地域雇用特別交付金に対するNPO側からの提言や、2001年6月の「産業構造改革・雇用対策本部の中間とりまとめ」からも分かるように、NPOは雇用の場として、またコミュニティビジネス(2)を核とした起業化や事業化促進の主体として非常に期待されており、今後ますます社会的に重要な役割を担うことになるだろうと推測される。
NPOと行政のパートナーシップは、まだまだ課題が山積しているものの、成長社会を終えて、成熟社会に入ろうとしている日本社会における「新しい公共」の創造に向けた市民と行政の双方向からのアプローチとして理解することができる。
このような社会背景の中で、NPOサポートセンター連絡会・パートナーシップ検討委員会は、地域性、公共性、非営利性をミッション(使命)に掲げて活動しているNPOが、コミュニティビジネスの担い手としてふさわしいという視点から、NPOと行政とのパートナーシップに基づいた社会資本マネジメントのあり方に関して議論を重ね、中央省庁をはじめ広く社会に対する提言をここにとりまとめた。
この提言が今後の行政とNPOとのパートナーシップへの布石となることを願うとともに、より豊かな社会実現のための次なるステップにつながるよう、各方面からのご批判を含め、様々なご意見をいただくことを期待している。
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