Advocacy
社会資本マネジメントにおけるNPOと行政のパートナーシップに関する提言
2.NPOによる社会資本マネジメントの現状

(3)NPOと社会資本の関わり

 社会資本とは「道路・鉄道・港湾・空港などの交通基盤施設、電話・衛星通信・コンピュータ通信を支える光ファイバーネットなどの通信基盤施設、上下水道・都市公園・教育・文化・福祉厚生施設などの生活基盤施設、河川・砂防・海岸などの国土保全防災施設、石油・ガス・電力の生産及び供給のエネルギー関連施設、農林漁業基盤施設、工業団地・オフィス街等の生産基盤施設」(社団法人 建設コンサルタンツ協会ホームページhttp://www.jcca.or.jp/より引用)と定義され、私的動機に委ねると著しくその供給が不足する資本といえる。いわゆる「インフラストラクチャー」と呼ばれるものである。

 本提言書の中では、特に道路、河川、公園、海岸などの社会資本について触れることとする。これらには以下のような特徴があげられる。

  1. 維持管理に莫大な費用がかかるため、個人では維持管理ができない。
  2. 永続的に利用される。
  3. 維持管理には技術的な専門性が求められる。
  4. 利用し、維持することで価値を高める。
  5. 利用者に対して常に開放されている。
  6. 面的に捉え、ネットワークとして考えることにより利用価値が高まる。

 自分の家から一歩外に出るとそこは「道路」であり、毎日、通勤・通学などに利用する。週末になると「河川」敷や「公園」で憩う。このように社会資本を実際に毎日利用するのは市民であり、その意味ではもっとも市民が身近に感じ、関わっていくことができる分野であるといえる。社会的使命を自身に課しているNPOが積極的に関わるべき分野であると同時に、NPOが関わることによって、社会資本の質をより高め、より良い活用を図ることが可能な分野である。

 これまでの社会資本とNPOの具体的な関わりといえば、公共事業に対する反対運動がクローズアップされることが多かった。しかし、近年では市民が自ら自分の住む地域をデザインするという視点から、市民やNPOが社会資本マネジメントに関与していく事例も多くみられる。市民が実際に社会資本マネジメントに関わることで、社会資本の有効活用が促進されるだけではなく、うるおいのある地域づくりに成果をあげている

 例えば、福島県福島市の国道13号福島西道路における沿道風景づくり事業では、設計から施工、管理まで地域住民が積極的に参加し、沿道の植栽、散水施設、木の切り株を利用したベンチ、地下歩道内の広場、ホタルの棲む小川といった「付加価値」を具体化し、開通後も民間の意見を反映する体制を維持、市民もボランティアとして道路管理に関わっている。また、かつての湧水地を住民の設計で小公園として整備したり、休耕田を利用した「花とホタルの里づくり」などの活動をおこなっている静岡県三島市のNPO法人「グランドワーク三島」は市民と企業、行政のコーディネーター役としてまちづくり活動を積極的に進めている。その他、河川流域を中心とした連携も各地で進められている。

 行政も、市民からのニーズを把握するために、道の相談室やインターネットを活用した道路政策モニターなどを設置しているほか、地域のニーズに応じて専門家を派遣し、市民との意見交換を図るための出前講座を開設している。また、法令などを定める際にパブリックコメントも実施されてきている。

 さらに、高知県安芸郡の「ふれあい海道」における歩道の清掃活動や和歌山県の「花つぼみ会」の活動をはじめとして、市民団体と道路管理者である国土交通省の地元工事事務所や地方自治体が協力をして道路管理をおこなうシステムであるボランティア・サポート・プログラムをスタートさせ、市民と行政との連携を実施している(図3参照)。

 河川関係では2000年12月に出された河川審議会答申において、河川における市民団体等との連携方策のあり方について積極的な提言がなされている。そもそも河川関係においては、流域の市民団体との交流が活発であり、荒川(東京都)における「あらかわ学会」や行政・市民・企業とのパートナーシップ形成のための「多摩川流域懇談会」(東京都、神奈川県)など事例も多く、市民の意見を積極的に求め、連携計画の提案制度の導入などを検討しており、市民団体からの評価も高い。

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