4.社会資本マネジメントにおけるNPOと行政のパートナーシップ
(2)新しいパートナーシップの課題
a. 役割分担の明確化
   パートナーシップにおいて最も重要な課題は、NPOと行政がそれぞれの役割分担を明確にすることである。NPOは自身のミッション(使命)に基づいて、プロデューサーとなるべきであり、行政は主として社会資本整備、社会資源の再配分、高度な判断力を要する技術的な管理など、国民の信託を受けた公共セクターとしての役割を果たすべきである。こういった点からも、契約段階において、役割分担と責任の所在を明確にしておくことは、無用のトラブルを避けるためにも重要である。イギリスでは「ローカル・コンパクト(4)」と呼ばれる、行政とNPOとの間の基本ルールを定めている。
b. NPOの経営安定化
   NPOへの委託に際しては適正な対価を支払うことが原則となる。NPOは非営利組織ではあるが、コミュニティビジネスの主体としての経済的な自立なくして、安定的な事業の継続は困難であり、事業を遂行するためには最低限の運転資金が必要となる。NPOは民間事業者に比べて安上がりだからとか、社会の潮流だから、というような考えでの業務委託は安易であり、ビジネスの原則に立てば、事業遂行に必要な人件費等は委託金額に適正に算入しなければならない。また、NPO法人の運営の安定化のためには、情報化や器財費用の確保、人材育成などに対する社会的なバックアップが必要である。NPOを支える意味では、保険制度や融資制度など周辺領域の整備も望まれる。
c. 事業の質の確保
   行政とNPOが契約を交わした社会資本のマネジメントについては、NPOの側の業務遂行能力を確保することが必須である。より高い質を確保するためには、行政と個々のNPOが直接連携するのではなく、地域ごと、テーマごとに中間支援組織(5)などを介して連携を深め、相互の距離を埋めていくことも有効な手段である。中間支援NPOが核になりながら、事業ごとに個々のNPOがネットワークを組み、それぞれの専門性を活かすことで、相乗効果を高め、質の高い事業を展開する結果となる。このような中間支援NPOの支援策を整備することも、今後、行政の重要な課題となると考えられる。

 NPO側としても行政と対等なパートナーシップを推進するためには、自らを地域を基盤とした自立した事業体として認識し、継続して組織や事業を維持できるような力をつけていくことが重要である。そのためには単なるボランティア団体ではなく、市民の意見を反映することができるコミュニティビジネスの主体であるという視点を持つことが不可欠である。

d. NPOの評価
   パートナーシップの結果の評価に関する課題もあるだろう。行政とNPOとのパートナーシップの結果においては、コストの削減だけでなく、NPOとの協働がもたらした成果を評価しなくてはならない。アウトプット(結果)による評価ではなく、アウトカム(付加価値)を中心に評価していかなくてはならない。(図5参照)特に社会資本マネジメントに関しては、行政はこれまでのような事前チェック、監督、認可中心のシステムから情報公開、事後評価のシステムへと行政自体の体質変換を図っていくことが求められる。

 十分なパフォーマンスを得るためには、NPOが行った事業に対して客観的な評価基準を設けることも大変重要となってくるため、評価を専門的に行うNPOの存在も望まれるところである。

d. 法的整備
   法的整備も大きな課題としてあげられる。特定の要件を満たしたNPOとそのNPOへの寄付に対する税制優遇制度をより現実に即したものに改正していくことが重要である。さらに、NPO法第2条の別表(図6参照)に掲げる12分野の活動範囲に社会資本マネジメントなどを追加することで、よりNPOが社会資本マネジメントに参入しやすい環境を作ることが可能となる。道路法や河川法などいわゆる公物管理法において管理委託を制度化するとともに、委託先としてNPOを明記するといったことも、明確な形でNPOを行政のパートナーとして位置づけるという意味で検討に値する。
▲TOPへ
| 閉じる |